照明Design設計をするための基礎知識 〜その3〜

3回目です。今回は演色性について私なりの意見を述べていきます。

演色性とは―

物体の色とは、その物体に色が付いていて私たちは常にその色が見えていると考えがちですが、物体を照らす光によって色の見え方は変わってきます。
極端な例としては、赤い照明や青い照明を当てると赤みや青みがかって見えますよね。そうでなくとも日常的なあかりの蛍光灯や街路灯などでも、物の色を正確に表現しているわけではないのです。この、光による物体の色の再現性を演色性(単位はRa)といいます。

平均演色評価指数

演色性という言葉と同時によく出てくるのが「平均演色評価指数」といわれるものです。これは、基準の光と比較対象となる光で照らした場合に、どのくらい色のズレがあるかを数値化したものです。
基準の光をRa100として、色のズレが大きいほど数値は小さくなっていくというあらわし方をします。ここで気を付けたいのが、平均演色評価指数は人の感覚にとって好ましい色かどうかを表しているわけではないということです。
演色性が劣っているからといって性能が悪いランプではなく、照らす対象物や用途に応じて演色性を判断することが重要だということがわかれば、間違いは起こらないでしょう。

演色性が必要とされるケース

答えから言いますと「色が正しく見えてほしい場所」です。例に挙げるなら以下のようなケースになります。

  • 食品や料理など食べ物本来の色が見えてほしい場所
  • 洋服など商品をお店にディスプレイをする場所
  • 美術館など絵画やその他の作品の色をしっかりと表現させたい場所

特にお店などのランプの演色性が劣っていると、購入後に自然光の下で色に違いを感じることがあります。逆にオフィスや工場、または街路や公園等の屋外空間では、演色性はそれほど重要ではありません。屋外空間の場合は、光がいかに遠くに届くかということのほうが重要ですからね。

住宅でも、全ての空間で演色性が優先されるわけではありません。むしろ優先事項に挙がることのほうが少ないでしょうね。その空間にとって何が優先されるのかを意識することが重要です。