椅子のDesignから歴史を紐解く〜その5〜

チューリップ・チェア|エーロ・サーリネン

  • 設計年:1956年
  • 寸法:805×495×540(W×D×H)座面高480(上記写真の左の椅子)
  • 素材:塗装仕上ガラス繊維強化ポリエステル、塗装仕上鋳造アルミニウム、フォームラバー

チューリップ・チェアは5年間のうちにエーロ・サーリネンによってDesignされた一連の椅子です。アームチェア、スツール、テーブル、サイドテーブルが同じシリーズとしてDesignされています。
その一連のシリーズの特徴は、支持構造がテーブルと椅子の統一性を強調するように、中央の支柱がワイングラスのようにDesignされているところにあります。

サーリネンはこんなことを言っています。
「典型的な家具Designでは、テーブルと椅子の脚部は醜く、混乱し、そして落ち着かない世界を作り出している、私はもう一度Designを見直し、統合化された椅子を生み出したいと思った。」
当時の家具Designは、脚は脚として、座面は座面、天板は天板というように部材が分かれており、また、素材も異なったものが流行していたそうです。サーリネンはその継ぎ目が美しくないと思い、一体化され、洗練されたDesignをしていったのです。
現在の生産方法では、1本脚の家具はプラスチックと金属を半々に使用しています。
サーリネンはプラスチック産業に可能性を見出し、自分がDesignしたような一つの材料だけを使った椅子が多く誕生してほしいとも言っています。
今日でもこのチューリップ・チェアはそのオリジナル形態を保ったまま生産され、世界で愛されるDesignとなっています。